TS3 三国志 #9 波乱のホームパーティー
司馬炎(ふぁー、眠い……。母上がいらしたのは喜ばしいが、正直、おられぬほうが気楽であった)
宮殿前にはすっかり雪の積もった獅子舞ベースがまたしても放置されていた。なぜかこの獅子舞だけ、持ち運べない仕様なのだろうか。傍らでは昨日の雪だるまが溶けかけていたが、一方では孫晧が残った雪でかまくらを作り始めている。
司馬炎(かまくらを作るのに正装してくるとは。やるな)
謎の対抗意識を燃やして冕冠を被り、かまくら作りを手伝い始める司馬炎。
司馬炎は職業「無職」で暇があるため、この日一日主人公にしてバンドのライブのオファーが来ないか待ってみたが、来なかった。実はこのゲームで一度もライブに成功したことがなく、どういう条件で発生するのかわからない。ヘルプに載っている施設も揃っているはずなのだが。もっともまだ結成二日目なので、素直に待つことに。
その翌日。司馬昭一家に「贈り物パーティーを開く」という願望が出ていたので、ライブを待つ間、ホームパーティーを開いてみることにした。
司馬攸「1時間半後の9時開始としよう」
メールで皆を招待。今回は人数制限解除MODを入れていなかったので、適当に友人知人を選ぶ。
パーティー専用の贈り物スペースを居間にセッティング。招待客もそれぞれ贈り物を持参し、交換しあうのだ。椅子取り合戦になるのが常だが、この部屋には元々椅子もかなりあるので、普段のまま使うことにした。ドレスコードもカジュアルで、気楽なパーティーを目指す。
部屋全体の写真を撮ろうとしたら、何やら映り込む人影が……?
なんと、開始時間の30分以上も前からやってきた羊祜だった。いつもは遅刻するくせに。
王元姫「ところで、宴の料理はどうするのです?」
司馬攸「開始までの間に作ろうと思っておりましたが、まさか、斯様に早く客人が来るとは」
王元姫「時間にルーズな者とは、つまり予定より遅いとは限らぬもの。それにそもそも、そなたのスキルで客人に出す料理が作れますか?」
この二人は引っ越してきたばかりだし、司馬昭と司馬炎も外食ばかりしていて、司馬一家の料理スキルは全員0だったのだ。
司馬攸「……宅配ピザを注文いたしましょう」
王元姫「待ちなさい、良い考えがあります」
王元姫(必殺・ビュッフェテーブルを設置しましたわ☆)
ちょっと入口近くに置きすぎて、ドアが開くと表示が突き抜けてしまったが。以前(夢の中で)設置しただけで料理を出し忘れて失敗したビュッフェテーブルだが、今回は忘れずにセットし、これで安心。と思ったところへ司馬師と陳泰が到着した。二人とも宮殿内のご近所住まいなので、素早く来られるようだ。
続々とやってきたのは、鍾会、張華、歩闡……なんだか招待していない人も交じっているが、まあいい。
皆が持参したプレゼントが山のように積み上がっていく。
司馬炎「よし、皆揃ったな。贈り物交換をはじめるぞ♡」
司馬炎のかけ声で、皆が和気藹々と座席に着く。この場面でよく座席の取り合いになるのだが、今回、ルーティング改善MODを入れてみた効果なのかどうか、かなりスムーズに進行した。
まずは司馬攸が立ち上がり、プレゼントを開封。金魚鉢を引き当てた。
次いで司馬炎がプレゼントを覗き込む。この兄弟、お客様そっちのけだが、主催者から開くのがSims流なんだろうか。
と、ここでまさかの事件が発生。
ピンポーン。
突然やってきた、強面のNPC。
司馬炎「誰だ、そなたは? 招待した覚えはないぞ」
NPC「支払い滞納のため、財産を差し押さえる!」
司馬炎「!??」
なんと、取り立て屋だった。ワールド屈指の資産家たる司馬一家、資金は有り余っているというのに、うかつにも税金(?)の支払いを忘れていたのだ!
一同、騒然と立ちあがる。
杜預(なんたることだ!)
歩闡(うわあ! うちも支払いを忘れている!)
陳泰(取り立て屋とは!)
高陸公主(まあ、みっともない!)
羊祜(アハハ、元凱殿のあの顔!)
皆のフキダシが、取り立て屋の話題一色に!……約一名、マイペースな人もいるが。
取り立て屋は悠然と奥へ進むと、押収物吸い取り機(?)を取り出した。この謎のマシンで、滞納分に見合う家具を差し押さえられるのである。皆、恐れをなして逃げ出してしまい、最早パーティーどころではない。
幸か不幸か、居間の奥の置物と、その横のテーブルランプ一つが差し押さえられたに留まった。
司馬攸(うかつにも、皆の前で家具を押収されるとは……とんだ恥をかいたものだ……)
そんなわけで、まさかのハプニングにより、贈り物交換は中止に。
帰ってしまったのかと思った客人たちの一部は、隣の部屋に逃げ込んだらしく、気づけば杜預と鍾会が囲碁の対局で火花を散らしていた。あれ? 居間に集まってもらおうと、この部屋には鍵をかけておいたはずなのに? よく見ればもう一つ入口があったのだった……。
司馬炎「何ゆえこの朕が税金などを払わねばならぬのだ……ともかく早急に灯りを買い直さねば、格好がつかぬ」
まだ居間で落ち込んでいた司馬炎のスマホに、着信が入る。
司馬炎(!! まさか、ついに我がバンドへのライブの依頼であろうか!)
意気込んで電話に出てみると。
司馬炎(茂先からの招待だと? しかも一時間後? 先ほどここに来ていたというのに、いつの間に……)
とはいえ自宅のパーティーは失敗して暇なので、招待を受けることにした司馬炎、宮殿内の雪道を走って張華の屋敷へ。
屋敷の前では張華の愛馬が出迎えてくれた。
司馬炎(リボンに三つ編みとは……気取った馬だな)
中へ入ると、鍾会や高陸公主、荀勖など、司馬家のパーティーから呆れて帰ったらしきメンバーと、その他には陳騫と陸抗が来ていた。
司馬炎「ところで、茂先はどうした?」
……なんとそのころ張華は、寝室で爆睡していた!
主催者が途中で寝てしまうことはよくあるが、最初から寝ていたのはさすがに初めてだ!
その後、張華を無理やり起こし、庭でセッション。獅子舞を放置してきた張華が普通のベースを持っているあたり、やはりそこはかとなくバグ疑惑が。荀勖はよほど太鼓が嫌だったのか、勝手に琵琶に戻っているし。
鍾会の姿が見えないと思ったら、皆が出払ったのを見計らったかのように、こっそり鸚鵡と遊んでいた。
夜になり、司馬炎が帰宅した頃には家族は寝室へ引き上げてしまい、居間では残っていた歩闡が酔いつぶれていた。招待してもいないのにやってきて、最後まで居座った挙げ句にこれとは、実に肝の据わった男である。
そんなわけで、荀勖あらため司馬炎率いる素人バンド、未だライブには成功していないのだった……。