#024探偵アリスの迷事件簿・2

ある日、街に立派な武道場が建った。

ユーザーメイドで見つけた道場の中で、一番軽かったものをもらってきて、シャワールームを付けるなど小改造。Japanese Dojo 的な名前だったが、どうみてもJapaneseじゃない気がする。

順調に武道のスキルを上げたアリスはこの頃、気合で板を割る修行も進み、瞑想まで出来るようになっていた。しかし昇段する度に部道着が追加で増える。着ないし重くなりそうだから、古いのは削除したほうがいいかな?

ヴィーチャが来たので試合を挑んでみた! 折角だから、中に入ってやればよかったね……。結果はアリスの勝利。住民の中でアリスだけダントツに武道スキルが高いので、今のところ敵なしの模様。

ヴィーチャは気にせず部道着のままベースを弾き始めていた。しかもちゃっかりチップ用の小瓶を置いている。ジャスティン母のリェーナブリュンヒルト、そして新住民のダニエルなどが聴き入っていたが、スルーして帰宅。

家に戻ると、セイがフランツとチェスで対戦していた。毎日のようにランキングの高い相手を呼び出して試合をしているが、今のところ連勝しているらしい。

アリス「フッ、今日こそ(夕食を作るのに)間に合ったわ! 私の勝利ね」

……いい笑顔☆

客人が座れるスペースがなかったので急遽カウンターを増設。椅子にめり込んでいるのは身長操作のせいかと思ったが、セイはほぼ平均身長に近いので、単に椅子がおかしいのかもしれない。いい椅子を見つけたら変えてみようかな。

アリス「フランツも食べていってね。結構美味しくできたと思うんだけど、セイ、意見は?」
セイ「初めてにしては、料理の形態は成しているようだ」
フランツ「えっ、初めてなの……(不安だ! しかも何故カップルの真ん中に座らされるんだ)」

が、少なくとも焦げてはいないし、意外とマトモな料理だったようだ。ごちそうさま。

フランツ(そして何故、僕は他人の家で皿を洗っているんだろう……)

……フランツのキャラが異様に定着してきているのは気のせいだろうか。ゲストキャラなので、原作者には申し訳ないが!

季節は秋になり、ハロウィンシーズン。セイの願望に「カボチャを彫る」というのがあったので、公園の秋祭りで収穫。

なぜか穫ったときより大きくなっている気のするカボチャを彫る。豪快に中身を取り出しているようだが、古新聞を敷いている意義を問い詰めたい。

大変とってつけたようだが、玄関に飾ってみた……。左がセイの彫った悪い顔のカボチャ。右がアリスの彫ったお化けカボチャ。

そういえば、なぜかバーテンダーだったはずのアキが秋祭りの屋台の店員に割り当てられていた。

アキ「いらっしゃい! おいしいコーヒーはいかが? ハンバーガーもあるよ!」
アリス「実は仕事の聞き込みなのよ」

相変わらず、日々探偵業務と武道の修行に打ち込んでいるアリス。

ときには浜辺で張り込みをしたり。

アリス(どう見ても、馬しか居ないわ……)

プールがあるわけでもないのに自宅の庭を水着でうろうろする少年に聞き込みをしたり。

アリス「最後に個人的な疑問だけど、どうして水着なのかしら?」
総「うーん、夏らしい気分で楽しくなるからでしょうか!」
アリス「もう秋だけど」
総「やっぱり、そうですよねえ……」

高層マンションの住人に、自慢げに「上まで上がってきて!」と言われ、何度も上がり下りする羽目になったり。基本的に、依頼人は対面でなければ話してくれないので大変である。

新住人に出会ったり。

アリス(この子、体温を感じないわね。最近噂のヴァンパイアじゃないのかしら)

こなした仕事は「家のノームを蹴っている犯人を捜してくれ」から、「誰それの誤解をといてくれ」「債務をなかったことに」など。もはや探偵というより、なんでも屋ではないだろうか。とてもじゃないが武道の腕を行使するような雰囲気ではないのだ。

ところで、ヴァンパイアのユーリーは実はセイの会社の上司だった。しかし、上司との関係が良くないということで仕事も伸び悩んでいるのだ。ビジネスマンは職場の人間関係が大切らしいが、「一匹狼」で「気難しい」特質のセイには困難なことである。なぜこんなにも明らかに向かない仕事を選んだのだろうか!

休日に公園で上司との交流を試みるセイ。こうしてみると意外にもセイよりユーリーの方が背が高いのだ。某学院の子は皆やたらと高身長だなあ。しかし、燦々と降り注ぐ陽射しのせいで、超高速で帰られてしまった……。

ところで背後にどう見ても子供を拐かしているような人影が。

ステファン「俺みたいな仕事やれば、こーんな大きい車だってタダで手に入っちゃって、そんな宿題なんかしなくてもいいんだぜ?」
ケイト「それはわかったけど、私はケーキ屋さんになりたいから、宿題してるの! 邪魔しないでちょうだい」

果たしてステファンは犯罪組織でうまくやっているのだろうか。ずっと非アクティブで放置しているので不明である。

車といえば、探偵業務は移動が多いので、奮発して新車を買ってみた。見た目のかわいさで選んだユーザーメイド品だが、前のポンコツとは違いとても高速で、この小さい街ではどこへ行くにもすぐに辿り着けるようになった。

仕事を終えたアリス、今日もシンのバーで一人飲み。バーに行って指示せずに放っておくと次から次へと飲み続ける。笑

アリス「君、そろそろそのコスプレどうにかしたら?」
シン「僕もそう思うんだよねえ」

……しかしまた変更し忘れた。というか準NPCの場合、通常の住人の仕事着のように変えられるものなのだろうか。

まだ飲み足りないらしいので、今度はエーリッヒの店へ。そういえばエーリッヒはなぜか私服勤務だ。

アリス「ほんと、子供の喧嘩の仲裁みたいなくだらない依頼ばっかり! もー頭きた! でもこれが何故か結構楽しいのよね」
エーリッヒ「アリス嬢、何軒目です?」

そんなこんなでアリスは結構うまく探偵業をこなしていたが、一方セイは、仕事で「昇進したい」という願望を持っているにも拘わらず、相変わらず上司と不仲で毎日「非友好的なヴァンパイアによる」ネガティブなムードレットがつき、かといって交友関係を無視してがむしゃらに働いてみては疲れ切ったりして全く先が見えず、日々ストレスを溜め込んでいるようだ。ある日ついに、「会社をサボる」という願望が出る。

そんな中、公一がTVが壊れたので直してほしいと依頼してきた。修理スキル1なのにも拘わらず、見栄を張って引き受けてしまうセイ。

セイ(さて……どうすればいいんだ? 考えたくもない。明日にしよう)

翌日、思い切って仕事をサボったセイ。しかし交友関係はみんな勤め人で、平日の朝から遊んでくれるような人がいない。仕方ないので頼まれたTVの修理をしようと思ったら、「動けないほどストレスを抱えている」らしく、できない。ヴィーチャと違って(?)一般の人には電化製品の修理は楽しくない作業らしい。

ストレスを解消しようと思ったが、この家にはろくな娯楽用品がない。目の前にTVがあるが、壊れているわけだし……。結局、公園を散歩したり、家でチェスをしたり、夕方になってから友人と電話したりしつつ、ゆるゆる回復。

ところで、上司とは気まずいのだが、実は同僚のジャスティンとはかなり仲が良かった。ジャスティンとは似たもの同士で気が合いそうだ。昇進のためには同僚との友好も重要なので、多少は希望が見えてくる。本日のチェスの対戦相手のアリョーシャを負かした後で、ジャスティンも呼んでみたら快く来てくれた。

ジャスティン「ところで、何故無断欠勤を? 休みたいなら、有給休暇を取ればよかったのに」
セイ「世の論理を覆してみたくなったんだ」
アリョーシャ(敗因はなんだったんだ? 突き止めるまで寝ないぞ)

対戦が終わってもしつこくひとりでチェスを続けるアリョーシャだった。

翌朝、アリスが家を出ようとすると、先日彫ったカボチャ(右)が粉々に破壊されていた。野良動物の仕業だろうか。

アリス(いいえ、探偵の推理によると、これは住民がわざと踏ん付けたに違いないわ。何よ、壊すなら自分の彫ったのを壊しなさいよね)「てやーっ!」

武道仕込みのキックで、セイの彫った悪い顔のカボチャをボコボコにするアリス。ハロウィン目前にして、悲しくもカボチャは二つともゴミ箱行きとなった。

……ちなみに公一のTVは、感電しながらもなんとか修理して返却しました。