#019ゴーストハンター唯・2

その1の続きです。

ゴーストハンティングで集めた霊魂はケースに入っていて、それぞれ年齢やタイプなどがわかる。部屋に置いておくこともできるらしい。

名前を付けることもできる。「迷子」という気になる霊魂があったので、試しに名付けてみた。

唯(よし、おまえの名前はユキコだ)

積み上げられるとはいえ、大量に置いておくのもじゃまだし、残りの霊魂は後で売ろうと思って再び持ち物へ。

働きが認められ、一晩にして昇進した唯。

唯「この機械でゴーストを吸引するんだぜ」
総「わあ、すごい!」
唯「……これ、神秘性が足りなくて下品だと思う?」
総「え? そんなことないよ、ハイテクだなあ」

例の機械を「見せびらかす」と、喜んで話を聞いてくれる総。素直な子はいいものだ。

さて、ゴーストハンターとして論理学スキルアップに余念のない唯だが、シムの世界では、論理学はチェスに象徴される。「次のランクのチェスの対戦相手を招待する」というのがあったので、翌日の午後に電話してみたところ、対戦相手はエイドリアンらしかった。

お客さんとキッチンで対戦するのも格好悪いので、エイドリアンが来る前に、リビングの飾り物を撤去してチェスセットを移設した。

リビングではおばあちゃんがテレビを見ていたが、エイドリアンを待つ間、お構いなしに奪ってサッカーゲームをはじめる唯。

イングリッド(せっかくお料理番組を観ていたのに。この子は相変わらずねえ)

やがて、なぜか冬服でエイドリアンがやってきた。出迎えるおばあちゃんもわざわざ冬服に着替えていて、春なのに何故? と思ったら、なんと気温が0度を下回っているという、謎の気候である。

エイドリアン「はじめまして、チェスの対戦に伺ったエイドリアン・ダンヒルと申します」
イングリッド「まあまあ、丁寧な方ね。(唯には似つかわしくない相手だわ……)どうぞ中へ」

そうこうするうち仕事の時間になったが、昨夜の雰囲気だとハンティングは早々に終わるので、気にせず対戦を続ける。結果は唯の勝利に終わった。

エイドリアンの接待はおばあちゃんに任せて、仕事に向かう。本日最初の任務は、ポルターガイストが出たという小さな家。以前はロイツェル兄妹が住んでいたが引っ越したので、現在の住民は別の人。

家の中に入ると、家具がガタガタと大暴れ。とはいえ浮遊している霊と同様の要領で、サクサク除霊していく。と……妙に、霊ではなく人間の視線を感じる。

七旺美(あら? 誰かと思ったら唯じゃない)
三佳(この業者さん、喜道くんにそっくり!)

なんと母親の家だった!

唯「うわっ! ちょっとそこ退けよ、お前まで除霊しちまうぞ」
三佳(……そっくりなのは顔だけみたい)
七旺美(眠いわ、まだ終わらないのかしら。所詮は初心者ね)

この後、七旺美はさっさと寝てしまったので、結局顔を合わせないままに任務完了。偶然とはいえ、この不干渉っぷりが七旺美らしくて素晴らしい。

翌日も、きれい好きのイングリッドおばあちゃんは家中の掃除に余念がない。

今日はレストランは休みなので、総は友人の公一と公園へ遊びに出かける。やってきた公一は、例によって設定した覚えのない服を着ていた。コーディネイトが微妙すぎる気がするが、総が気付くはずもなく。

キャッチボールをする健全な少年たち。ただしこの公園、キャッチボールをするには少々狭く、植え込みに突入しそうな勢いである。

そうこうするうち雲行きが怪しくなってきた。そろそろ夕食も作りたいので、公一と共に屋敷に戻ることにした。

イングリッド「よく来たわねえ、雨で大変だったでしょう」

会話の弾む三人を後目に、唯はパジャマのまま一人でゲームに熱中。

この後、総が早めの夕食を作ったが、空腹でないのか、公一は料理を食べてくれなかった。

本日もゴーストハンターはお仕事に。今夜はミシェルの家にポルターガイストが出たらしい。

例の機械で吸引しようとするが、失敗! これまで偶然にもうまくいっていただけで、失敗することもあるようだ。

唯(チッ、逃しちまった……。家の中に移動したかな)

その時、ガタっと開く扉。出たか! と思ったら、マノンが這い出てきただけだった。幼児が自力で扉を開けられるとは知らなかった……。

霊を追って中に入ると、帰宅したミシェルが話しかけてくる。が、実はミシェルとは先日、昼間は滅多に外に出ない唯が珍しく本を買いに行ったときに道で遭遇、突然喧嘩を売ったために仲が悪いのである。

ミシェル「なんだ、ゴーストハンターはおまえか。失敗したら許さねえぞ」
唯「うるさい、仕事中に話しかけんなよ」

ますます険悪に!

狭い家にもかかわらず、霊に逃げられまくって少々てこずったが、なんとか任務完了。

終わるや否や、ミシェルはさっさとベッドへ……あのパンツ一丁で。リンはポルターガイストに動じることもなく先に寝ていた。見かけによらずタフなメンタルの持ち主なのである。

ところでふと気付いたが、マノンのベッドの向きが逆だった? 今度アクティブにしたら修正しなければ……ミシェルのパンツも。笑

外に出ると、また雨が降っていた。二件目の依頼はこちらもポルターガイストが出たグレアムのお城、ならぬ丘の上の邸宅。

唯(またいかにもな古屋敷か。なんか今日は調子悪いし不安だな……)

中に入ると、矢継ぎ早にグレアムが話しかけてくる。

グレアム「やあいらっしゃい、君がゴーストハンターかい。そうだ君、死神とは知り合いかね? 実はぜひ出会いたいと思っているのさ」
唯「いや、それはちょっと、守備範囲外なんだけど……」

案の定、薄暗くて入り組んでいるので、霊を捜すのに手間取る。その上、グレアムがずっと着いてきて話しかけてくるためちっとも作業が進まない。

グレアム「ワーオ、逃げちゃった! 除霊というのも難しいものだねえ!」

プレイヤー的になかなか霊が目視できなかったので、指示をせず放置していたら、そのうちグレアムの会話を振り切って唯が見つけ出していた。そんなわけで無事にお仕事完了。つくづく、前のリアルお城じゃなくてよかった……あそこはそもそも移動するだけで大変すぎて、勤務時間内に絶対に除霊が終わらなかったと思う!!

家に戻った唯、ふと思い出して出会い系(仮)を覗いてみると、アリスから返信が来ていた。

なんか露骨に適当な感じだが、まあそこは、お互い様である。「求めに応じ」てみると、アリスと「知人」になった。デートはオフラインでやれということか。

翌朝。唯はまだ寝ているので、二人で食事。総としては新しい料理を作りたかったが、いつも三人家族では食べきれずに残り物が増えてきたので、先にそれを消費することに。そんな中、総の願望に「執事を雇いたい」というのが出る。

イングリッド「上手になったわねえ。昨日の料理でも充分美味しいわ」
総「(それ一昨日か、へたすると一昨昨日の料理なんだけど、大丈夫かな……)と、ときにおばあちゃん、執事を雇おうと思うんだけど」
イングリッド「執事? 果たしてうちに必要かしらねえ? 家の中のことなら私がやるわ」
総「おばあちゃんには、もう少しゆっくりしてほしいんだ」

要らなければ解雇すればいいかと思い、物は試しに、雇ってみることに。

えっ……ベッド? そうか、メイドと違って執事は住み込みなのだ。しかしこの家、三人がそれぞれ個室を使っているため、現在は封印してあるガレージの地下を除いては、空き部屋がないのである。地下室はアクセスが悪いから封印してあるわけだし、どうしたものか。

…………とりあえずガレージに寝てもらうことにしました。

いかにもな姿の上品そうな執事がやってきた。……ガレージに寝かされるとも知らずに。

ちょうどその時、食事を終えた二人は皿を洗おうとしていたが、食器洗浄機が壊れてキッチンが水浸しに。

実は日頃から器用さの本を読んで勉強していたおばあちゃん、ここぞとばかりに「修理をする」という願望が出る。一方きれい好きの総は「水たまりを拭き取る」という願望が。

総「うわっ大変だ!(掃除したくてたまらないけど、まずは!)修理業者を呼ばなきゃ。あっ、執事さんが到着したようだけど、彼、直せたりするかな?」
イングリッド「ちょっと待って。おばあちゃんに任せなさい」

いそいそと修理をはじめるおばあちゃん。

執事「では、わたくしは掃除を」
総「あっ……」(そんな! 僕は掃除したかったのに!)

やっぱりこの家に執事は必要ないのではないか。

……ところが。

イングリッド「(ビリビリビリ!)キャアー!」

総「うわっ! お、おばあちゃん、大丈夫!?」

なんと、おばあちゃんが修理に失敗して、感電!

思えば、いつも家中の修理や改造をしていたヴィーチャは「便利屋」の特質を持つ器用なシムなので失敗したことがなかったのだ。ものすごい姿になったおばあちゃん、しかし死ななくてよかった!

イングリッド(おかしいわ、本で勉強した通りにやったはずなのに……)

呆然とするおばあちゃんの後ろで、サッと修理をはじめる執事。おばあちゃんのこの火傷はどうしたらいいのだろう。

イングリッド「ちょっと、私はシャワーを浴びてくるわ……」
総「で、では僕が掃除を!」

怪我の功名で総の願望が叶う。

一方、起きてきた唯。「25体の霊魂を科学施設に売る」という願望が出ていたので、科学施設へ向かう。

が、手持ちの霊魂は惜しくも24体。……いや、部屋の「ユキコ」を併せると25体であった。せっかく名付けたし、今晩仕事すれば25体にはなるのだが、折しもワールド移転を考えていて、今すぐにでも願望を達成しておきたかった。

唯「これも科学の発展のためなんだ。成仏して人の役に立ってこいよ(本当は俺が願望ポイントがほしいからだけどな!)」

……というわけで、無情にも売られるユキコだった。